錠光窯
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土への想い 自然への想い
仏の土・土の仏
 私は、「やきもんや」をしとります。何の世界でも同じでっしょうが、自分で窯を焚いていると、時々ふっと、仏の実在を確信するときがあるとです。 「やきもん」は土と釉と炎でなりたつもんです。もちろん技術というもんがあるとですが、土と釉と炎と向き合う自分の態度のありかたが技術という気がするとです。
 一番の基になる「土」を通して、「私の仏さん」の話ばしまっしょ。
 土は星野村のあちこちから採って来ます。取る場所で土の色・匂い・味、みんな違うとります。

 滑らかな土、軽い土、ザラザラした土、重たい土、軽い土、みんなその性質が違うとです。
 それぞれ採った場所で袋に分けて、1回に2トンダンプに半分ぐらい積んできます。今時分だと2〜3週間、天日に干してカラカラに乾燥させます。 それを風呂桶くらいの水槽の中に入れますとジューという音をさせながら水に溶けちいきます。それから5尺程の長い板で掻き混ぜ撹拌して泥水を作ります。
山本拓道
E-mail : jyoukougama@orchid.plala.or.jp

渕上事務所ホームページ
(拓道さんの器)
 それをもう一方の水槽に40目・50目・80目といった水嚢で漉してゆくとです。
 小石や砂利や木の葉、木の根といった不純物を取り除いて粘土と分離するとです。水槽の底に少しづつ粘土が沈殿していきます。この作業を毎朝毎日続けるんです。 1年・2年・5年・10年と。そう、ちょうど和尚さんが毎朝勤行されるように。
 やきもんの土を作るとは、想像もつかん程の長い時間と根気が要るとですよ。この世界も、手間・暇かけんのが増えてきたとですが、自分にゃ出来まっせん。
 2〜3ヶ月も経つと水槽一杯に粘土が溜まります。これを筵の上に上げるとです。
 ひと月もすれば水分が下に落ち、団子を作れるほどの堅さになります。この粘土を土室の中に入れ4〜5年寝かせるとです。
 私たちはこれを水簸して土の性を殺すと言っとります。もちろん山から掘り出した土をそのまま使うこともありますたい。1塊れの土を針金で何度も何度も切っては中に含まれている石や木の根をピンセットで除いてゆくとです。
 こうして作った粘土は土の性が生きっとりますから性質が荒く轆轤をひいても小石が飛ぶ出して来たり、素焼きの途中で爆発したり、そりゃもう大変です。
 轆轤をひく時などは足で踏んで、手で揉みほぐし、摩るように引き上げたり、捻じ伏せたり、土がこっちの言う事をなかなか聞いてくれんとです。 しかし、数を作る食器などの場合は性質がおとなしく、こちらの意のままになってくれる「水簸して土の性を殺した土」を使うとです。 ところが最近亡くなった高名な陶芸家の書いた本を読んどりましたら、「水簸した土を土室の中に寝かしておくとバクテリアの繁殖や酵素の発酵作用で粘りが出て実にいい土になる。土は生きているんじゃ」と書いてあるのを読みました。
 いずれにせよ、私たち「やきもんや」は土を自分に従わせ、又、自分を土に従わせ、土と対峙していくとですよ。土は生きっとるとですばい。生きている土を、揉み、轆轤をひき、削り、乾燥させる。
窯
 生きっとる土と向き合う感じは言葉じゃ表せまっせんなぁ。そげんして出来上がった器ば窯につめ、薪に火をつけ2昼夜。
 あとは窯まかせ。仏さん頼りで焚き上げます。
 煙は天に届き、炎は窯の天井を焦がし、総てを焼き尽くすまで。窯の温度1280度。窯の臟腑、土の性も何もかも総てを焼き殺したその5日後、チリンチリンと何とも清浄な産声をあげながら「やきもの」が生まれて来るとです。 自分でやれるだけやり尽くしても、後は仏さんまかせという不思議な世界ですたい。何年もの時間かけて、出来る全てを注ぎ込んだからこそ、仏さんにまかせられるという気もするとです。
 窯出しする時は、素直にお念佛が口に出るとですよ。

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錠光窯 山本拓道
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